はじめに、介護の現場では腰痛を訴える職員が多く体力に不安を持っている人が増えています。
またご利用者も「持ち上げる、抱え上げる」介護に身体的・精神的負担があると言われています。
このような課題解決のために特別養護老人ホームうがた苑では、「職員の労働環境の改善」「ご利用者へのサービス向上」に取り組むためにノーリフティングケア推進委員会を立ち上げました。
介護する側、される側双方において安心・安全な「持ち上げない、抱え上げない介護」のことで、ご利用者の状態に合わせて適切な福祉用具を活用しケアを行うこと。
ノーリフティングケアを導入する効果・メリット
1、こ利用者へのサービスの向上
●福祉用具の導入で「持ち上げる、抱え上げる」動作がなくなるため身体的・精神的負担の軽減
●ご利用者の身体に合った福祉用具を使用することで体力・生活能力・精神などの向上・維持につながり、リハビリ効果・自立支援につながる
2、職員の労働環境の改善
●作業姿勢や動作の見直し・福祉用具の活用により労働負担の軽減、腰痛予防
●福祉用具を活用し年齢・性別に関係なく働ける
今回はノーリフティングケアを導入している施設へ見学に行った特別養護老人ホームうがた苑の介護主任から、具体的にどのような取り組みが行われているのかという説明が行われました。
ノーリフティングケアを導入している施設では
①移乗用リフトを使用
ベッドから車いすやポータブルトイレに乗り移る際、リフトで吊り上げる福祉用具を使用する
→「抱え上げる・持ち上げる」作業がないことで職員の腰痛改善、ご利用者の転倒・転落予防と精神的不安が改善される
②スライディングボード・スライディングシートを使用
少しの力で身体の移動や体位変換ができる福祉用具を使用する
→無理に動かすことがないので、ご利用者の身体にかかる負担の軽減・寝たきり予防・不安や緊張の緩和と職員の体力的負担を減らすことができる
③正しい姿勢を心がける
勤務中や生活の中で出来るだけ中腰の姿勢を少なくし、正しい姿勢で身体を使う
→腰痛の発生率が減少し、腰痛がある職員も悪化させずに働くことができる
このようにノーリフティングケアを導入している施設では、
◆職員の腰痛が減った
◆腰痛のために離職する職員が減少した
◆2人介助で行っていたケアを1人でも安全に行えるようになった
◆ご利用者の筋緊張が緩和され関節の動きが良くなった
◆四肢の可動域改善で食事動作が自立で行えるようになった
◆介助による負担がなくなり、ご利用者の精神が安定した
などの報告があり、職員の労働環境・腰痛の改善、ご利用者の健康に改善が見られました。
今後、特別養護老人ホームうがた苑ではノーリフティングケアの考え方や技術・福祉用具を導入するために研修を行い、職員の労働環境の改善、ご利用者へのより良いサービスの提供を目指します!